『フォーギヴネス』東京国際映画祭コンペティション TOHOシネマズ六本木

舞台は、戦争で滅ぼされたパレスチナ人の村の跡に建てられたサナトリウム。NYから自身のルーツを求めイスラエル国防軍に入り、ある事件が元で精神を病んで入院をしたところから始まる。
過去から現在へわたるパレスチナ人へのユダヤ人へのこの監督なりの答えであり贖罪である作品というべきか。アート作家出身の監督らしく画面に散りばめられた隠喩やメッセージ、ダンスや音楽の取り入れ方が効果的な作品です。主人公がイスラエル、NYで出会うアラブ系の女、そこで繰り返される悲劇、故国を捨てた父殺しの暗示、サナトリウムの住人たちの鎮魂とスピリチュアルな描写、物語性よりも作品性としての完成度を楽しめるものなのかな。

ウディ・アローニ監督がティーチインで語られたのは、やはり現在のイスラエルという国家の葛藤や作品の場面に込められたメッセージ、作品のアート部分としての音楽の話など。ユーモアと知性が感じられる方でした。