『危険なプロット』ジャック&ベティ


(C)2012 Mandarin Cinema - Mars Films - France 2 Cinema ‒ Foz
素晴らしい!戯曲とオゾンの親和性が近年最高の傑作を生み出した。物語ること覗き見ることへの昏い欲望、若き書き手と指導者の共犯意識、立場の逆転現象、虚構の侵食、未熟な迷走、家族への渇望をオゾンらしい皮肉と毒と官能で描いている。バスケ、ピザ、コーラ、家の内装を生き甲斐にしている主婦、盛んに語られるシノワといったラファの家族の要素は、アメリカナイズされた若しくはアメリカ中産階級へのフランス古典的な皮肉かと思っていたけれど、スペインの作家の戯曲なんだな。饒舌でシニカルな語り口はウディ・アレンの映画と言っても信じちゃいそうだけれど、クロードの蠱惑的な表情は描かないかな。