『狐罠』北森鴻 講談社

宇佐美陶子は"冬狐堂"を屋号とし、骨董業界にあって、店舗を持たず業者間に商品を流通させる"旗師"を生業にしている。
ある日、陶子は橘薫堂の主人橘に目利き殺しを仕掛けられ、贋作を
つかまされる。
保険会社の調査員鄭富健から、国立博物館と橘薫堂の癒着を聞かせ
られた陶子は、目利き殺しを橘に返す決心をする。
そこで、かつての夫であり美術大学教授として、恩師でもある日本に帰化した英国人プロフェッサーDのもとを訪ね、贋作師潮見老人を紹介するように要請する。
そんななか、橘薫堂の店員、橘の右腕といっていい女性が殺害される。
犬猿コンビといわれる刑事たちの捜査、橘と手を結んでいる国立博物館の研究員、橘の背後に潜む大英博物館の元キュレーター、そして、橘の過去、野望。魑魅魍魎が蠢く骨董業界を舞台にした傑作。

面白すぎます。主人公である陶子のもつ圧倒的なエネルギー、裏の凄惨さまで描かれた骨董業界、贋作師潮見老人の凄み、橘の野望、
ひとりひとりの登場人物の圧倒的な息遣い、贋作を巡るその知識の
面白さ。

北森鴻氏は、わたしの中で、ミステリ界最重要人物になりました。
すごいや、この人。