ロンリー・ファイターハヤカワ・ミステリ文庫

主人公は、かつてNBAでプレーしていたが、入った直後に怪我をし、引退を余儀なくされ、失意の日々を送っているところを、親友のウィンことウィンザー・ホーン・ロックウッド三世に誘われてFBIの仕事に就いた経歴のあるが、現在はスポーツ・エージェントをしているという卓越した設定。今回は、ウィンの過去に断片的に触れることとなる物語です。ゴルファーとして長らく不運だったウィンの従兄弟であるジャック・コルドレンは再起を賭け全米オープンに出場中、トップを守っている。その時、ジャックの息子を誘拐したとの電話が。この犯行は、ジャックを動揺させるためのものか?ジャックの妻である女子プロトップ選手であるリンダ、スポーツ用品会社のオーナー達、ジャックの元キャディ、そしてウィンがこの捜査への協力を拒否する理由であるウィンの母親、様々な人々の思惑を巻き込んだ事件にマイロンが挑む。

今回は、ウィンが協力を拒否したために、マイロンが自分の弱さなどを再認識したりしますが、そこがまたいいんですよね。マイロンの秘書である元女子プロレスラーエスぺランサ、相棒である投資保険会社を経営するウィンとのやりとりはユーモア溢れる会話でタマラナイですし、マイロンの皮肉と独白も一級品、現代のアメリカの情報システムを駆使する捜査、エージェントのシステムの話や、スポーツ界の事、事件と巻き込まれる人々の有機的な結合、サスペンスの盛り上げ方も良い、何より今回は、ウィンが出てくるラスト。クゥー、泣けるなあ、男の友情は。絶対オススメの、このシリーズ。多くの人に読んでもらいたいなあ。

ロンリー・ファイター (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ロンリー・ファイター (ハヤカワ・ミステリ文庫)