『剣豪将軍義輝』宮本昌孝 徳間書店[Amazon]


足利幕府の悲運の将軍義輝の生涯を描く歴史大作。将軍義輝は12歳、管領細川六郎晴元と、義輝が父義晴を戴く典廐二郎が京畿を二分する争いをしていた。義輝は、犬神人と呼ばれる葬列を取り仕切る民が、ふたりの武士に瞬時に切り伏せられるのを見る。その剣技を見たことが、義輝の人生を変えていくこととなるのだった。その後に来た犬神人の少年熊鷹と戦って敗れた義輝は、天下一の武人になることを誓うのだった。その時に出会った犬神人の少女真羽にかつて、義輝の守役であり、心惹かれたお玉の面影を見つける。真羽はある日街に出るが、勧喜楼の悪王子といわれる鬼若に攫われることとなる。真羽奪還に出た義輝は、剣の師となる朽木鯉九郎、其の配下浮橋という忍びと共に鬼若を倒すが、真羽は、日吉丸という少年に助け出され行方を晦ました後であった。六郎晴元の配下である三好長慶率いる三好四兄弟が徐々に支配を固める中、義輝は武人として成長をしていく。武人としての更なる飛躍を望んだ義輝は、剣聖といわれる塚原卜伝に師事するために旅に出る。そこで、様々な戦国の巨人たちと邂逅することとなる。倭寇の頭目五峰、斎藤道三武田晴信、そして、織田信長塚原卜伝の元で剣の奥義を悟った義輝は更なる高みへと上っていく。旅の中、道三に見込まれた明智十兵衛光秀、かつて鬼若と争っていた悪僧石見坊玄尊、風筝という幻術者によって、死んだ母の胎内より生まされた小四郎という少年、明人であり五峰の娘である梅花、
様々な仲間たちを得ていく義輝であった。悪御所として、自分の心の赴くままに、天下と民を考え、戦っていこうとする義輝は、三好長慶の寵臣として京畿を支配していく松永弾上久秀との全面対決に入っていくのだった。

ひとりの快男児の生き様、死に様を、剣、歴史、幻想、圧倒的な登場人物たちの彩りを交えて描く夢の物語。ひとりひとりの登場人物が、本当に"生きて"いる。かけがえのない仲間たちを宝という義輝の心、圧倒的な乱世の巨人たち、義輝の剣と人間性に惹かれ、戦う人々。命が、魂が乱舞する。胸が熱い、涙が零れる。壮絶な結末…これは、世紀の傑作だ。

剣豪将軍義輝

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