『スコットランドの黒い王様』ジャイルズ・フォーデン 新潮クレスト・ブックス[Amazon]

スコットランド最後の王を自称するアフリカのウガンダの独裁者アミン大統領。スコットランド出身の医師ニコラスは、アミンの侍医となることで、数奇な運命を辿ることとなる。

ウガンダのムババラでの医師としての生活、恋、倦怠感、アミンの侍医としての大統領公邸での生活、アミンとの接近、彼に魅惑されていく過程、徐々に表面化していくアミンの狂気、イギリス政府からの暗殺の依頼、ウガンダの流転、虐殺、イスラエルリビアパレスティナ、各国の思惑と国際情勢、ニコラスの逃亡、タンザニア侵攻、全てを独裁者の隣という場所によって見ることとなったひとりの男の心情を語ることによって、物語は進められていく。

ウィットブレッド賞処女長編小説賞受賞
サマセット・モーム賞受賞
他多数受賞

なんて、魅惑的な設定なのでしょう。歴史的事件を体験するには、うってつけといえる独裁者の隣、彼に魅惑され、恐怖し、彼自身に近づいていく自身への悪寒、独裁者の狂気が各国を、国際情勢を動かしていく過程、アミン大統領も狂気だけでなく、歪んだ知性と魅惑を持った人物として描き切った力量、この物語、作家はすごいです。

スコットランドの黒い王様 (新潮クレスト・ブックス)

スコットランドの黒い王様 (新潮クレスト・ブックス)