「エリザベスタウン」

キャメロン・クロウ監督の新作ということで楽しみにしていたが、やっと観られた。興行収益や評判はもう散々聞いているが、監督の選曲センスというものが目当てなのでそう気にしない。やはり物語的には欠陥がある。父の記憶を追憶するべき物語であり、アメリカのファンタジーとしての故郷に愛された父とそれを受け継ぐべき子としての物語として描くべきであった。キルスティン・ダンストが演じた女性像は音楽オタクの心がくすぐられるものだし、彼女が主人公に渡した地図とその時々にあわせた選曲CDというものも、なるほど納得させる筋道ではある。だが、これも父が残したものとするものだと、より納得できたのではないか。構成・脚本ともやはり少々疑問符がつくが、それでも全編を流れる珠玉の音楽を聴くだけで満足できる。