『薬指の標本』ユーロスペース

ここまで原作の雰囲気を再現した作品は珍しいと思います。幻想性とフェティッシュな官能性の表現。全てを閉じ込めてしまうような標本、閉じられた浴槽の再現性。好奇心や戸惑いの表情で標本技師の男に惹きこまれていくイリスという女性を可憐に演じたオルガ・キュリレンコの魅力。イリスの汗の描写や港町の色彩、港の男の存在などの映画オリジナルの魅力も原作により一層の魅力を与えています。