チェルフィッチュ『エンジョイ』 新国立劇場

新宿の漫画喫茶に勤める非正規雇用者の若者たちを描いた作品。新宿の場としての磁場というのか舞台上の物語設定としての吸引力が、港北ニュータウンや六本木-渋谷円山町のホテルといったものに比べるとすごく足りないなと感じてしまった。道筋や徘徊するイメージはきちんと伝わってくるけども、拡散していくような感じがあり締まらないような気がする。一部の役者さんには客観性の饒舌が感じられないなあ。振り付けもずいぶんと分かりやすいというか・・・文句ばかり言っているが、笑いという点では3幕以外はずいぶんとわらかしてもらった。非正規雇用者としての30代としての周囲のプレッシャーやら俺はこれでいいのか的な想い、そして変わらない希薄な部分。当たり前にただある恋と恋人たち、それを切り取った暖かくもなくシニカルでもない視線。そのあたりはやはり、チェルフィッチュのリアルだと感じる。ただやっぱり最近の作品では一番しっくりいかない作品だなと思いましたね。うーん。