『バベル』109シネマズMM横浜

悪意なき偶然、利己的な個が生み出す悲劇、世界の同時性、言葉が、想いが通じない世界、人々は余りにも愚かで孤独で理解しあえない、それでもどこかで繋がっている。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が描いた分かりあえない孤独は、世界や他人を理解しよう、自分の今抱えている孤独は…と心を揺さぶらせる。心の深い部分で共感できたからこそ流せる涙にエンドロールの間、身を任せていた。映画館を出たあと、ポートランド方面へと歩いていると大音響と無数の光が覆っている空が見えてくる。ああ、今日は横浜開港祭なんだ。路肩に車を止めて空を見上げている人たちに混じって立ち止まって何時終わるとも知れない光の洪水の空を見上げる。愚かな人々が住むこの世界は思ったよりも騒々しく、そして美しい。