NODA・MAP第18回公演 『MIWA』東京芸術劇場 プレイハウス


男でも女でもない性と両性具有のアンドロギュノス魂を持つMIWAが生きる長崎での遊郭、映画館の銀幕の裏、天主堂で知る多様な愛と性。灰から何度も蘇る母たるマリア、踏み絵、天草四郎、耶蘇。戦争、原爆といった生と死と再生を描くことでMIWAの原点を探って行く。後半のシャンソン喫茶の興亡やディフォルメした赤木圭一郎との恋の部分は前半程の高揚は覚えないが、彼女を見守ってきた作家の持つ、もう一人のアンドロギュノス=三島由紀夫の自決となる下りは凄まじかった。こうして様々なもの人を失い、芸能の怪物として存在している。その説得力、物語の力。間違いなく傑作だ。アンドロギュノス=安藤牛乳となる脱力する言語センスも健在で、MIWA=宮沢りえに安藤牛乳=古田新太が被せてくる声や芝居には爆笑。野田秀樹の好む女優が演じる少年性、今回は更に女性の心を持っているジェンダーの倒錯が際立っていてこれがまた素晴らしい。宮沢りえは本当にすごい女優になって来ているな。舞台で怪物みたいだなと感じた人は、大竹しのぶや地点の安部聡子だけれど、彼女もそのうちそう感じるのかもしれない。