『虐殺器官』TOHOシネマズ海老名


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村瀬修功監督らしい良い意味で日本アニメーションらしくない欧州的なキャラクターの動きと色気がある。感情調整された情報端末としての兵士、ハードウェア・ソフトウェアを起動する戦場、監視社会の安全とテロ、先進国の傲慢、ピジン語、虐殺を生み出す器官をもった人類の行方。多少の改変あれど原作にほぼ忠実な脚本なのだが、映画ならではの拡張と快楽がない。ガジェットの映像化も予想の範囲内でテクノロジーの新表現が欲しかった。何よりエンタメアニメーション作品としてエピローグの欠落部分は致命的だと思う。器は再現できたが魂は再現できなかった。伊藤計劃のソリッドでシニカルな文体や映画ネタのユーモアは再現無理なのかなあ。ケヴィン・ベーコンゲームとかさ。モヤモヤ……。原作好きな方たちの感想が読みたいぞ。

21:40〜23:45