『六月大歌舞伎』歌舞伎座

夜の部 午後4時30分~
南総里見八犬伝

4:30-5:00
幕間 20分
初代中村萬壽 襲名披露狂言
山姥

5:20-6:11
幕間 35分
新皿屋舗月雨暈
魚屋宗五郎

6:46-8:06

夜の部
曲亭馬琴 原作
一、南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)
円塚山の場
犬山道節
犬村角太郎
犬坂毛野
犬川荘助
犬江親兵衛
犬田小文吾
娘浜路/犬塚信乃
網干左母二郎/犬飼現八

    歌昇
    種之助
    児太郎
    染五郎
    左近
    橋之助
    米吉
    巳之助

初代中村萬壽 襲名披露狂言
二、山姥(やまんば)
五代目中村梅枝 初舞台
劇中にて襲名口上申し上げ候
山姥
山樵峯蔵実は三田の仕
怪童丸後に坂田金時
源頼光
白菊
猪熊入道
渡辺綱
卜部季武
源賢阿闍梨
平井保昌
多田満仲
藤原兼冬
時蔵改め萬壽
    芝翫
 初舞台梅枝
    獅童
梅枝改め時蔵
    萬太郎
 初舞台陽喜
 初舞台夏幹
    錦之助
    又五郎
    歌六
    菊五郎

河竹黙阿弥
新皿屋舗月雨暈
三、魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)
初代中村陽喜
初代中村夏幹 初舞台
魚屋宗五郎
女房おはま
丁稚与吉
丁稚長吉
召使おなぎ
鳶吉五郎
小奴三吉
磯部主計之助
菊茶屋娘おしげ
浦戸十左衛門
父太兵衛
菊茶屋女房おみつ
    獅童
    七之助
 初舞台陽喜
 初舞台夏幹
    孝太郎
    松緑
    萬太郎
    隼人
    男寅
    坂東亀蔵
    権十郎
    魁春

夜の部
一、南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)
運命に導かれた八犬士の出会い
 里見家滅亡のとき、不思議な力をもつ八つの水晶玉が空中に飛び散り――。里見家再興のために不可欠な名刀村雨丸は行方知れず。ひょんなことから円塚山で、八つの玉の一つを持つ犬山道節の手に渡ります。そこへ運命に導かれるように、玉を手にした八犬士たちが姿を現し、闇の内を探り合い…。
 『南総里見八犬伝』は江戸時代に大流行した曲亭(滝沢)馬琴の長編小説。八犬士たちが、里見家の再興のために力を合わせる物語は、時を超えて愛されています。今回上演する「円塚山の場」は道節を中心に「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の文字が入った各々の玉を持ち、扮装も趣向を凝らした八犬士が見せるだんまりの、視覚的、様式的な美しさが眼目。爽やかな顔合わせで、動く錦絵と称される歌舞伎味あふれる名作をご覧いただきます。

二、山姥(やまんば)
旅立つ子と見送る母、新たな門出を寿ぐ情趣あふれる舞踊
 山姥に育てられ、足柄山ですくすくと成長した怪童丸。紅葉が美しい山中で、山姥と怪童丸は、一人の山樵(やまがつ)と出会います。この山樵は実は主君・源頼光の命で家来にふさわしい武者を探して都からやってきた武将・三田の仕(つごう)。怪童丸はその力量を認められ、都で召し抱えられることになります。喜ぶ山姥でしたが…。
 怪童丸とは、足柄山の金太郎、後の坂田金時のこと。都へ出ることになる怪童丸と、旅立つ子を見送る山姥の姿が描かれる味わい深い舞踊です。萬壽が山姥を、怪童丸後に坂田金時を新梅枝が初舞台として勤めます。出演者がそろう、めでたい劇中口上とともに、新たな門出を寿ぐ舞台をお楽しみください。

三、魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)
生き生きとした江戸庶民を描く生世話物の傑作
 魚屋の宗五郎は、奉公に出した妹のお蔦が不義の疑いによって磯部主計之助に手打ちにされたと知り、悲しみに暮れています。しかし、弔問に訪れたお蔦の朋輩おなぎから、お蔦の罪は濡れ衣であると聞いた宗五郎は、禁酒中にも関わらず、ついに耐え兼ねて酒を飲んでしまいます。酔った宗五郎は、妹の無念を晴らすために磯部邸に乗り込み…。
 怪談「皿屋敷」を下敷きとした『新皿屋舗月雨暈』の一場面で、河竹黙阿弥による世話物の傑作。宗五郎を取り巻く家族愛や、酒を飲み始めた宗五郎が次第に酩酊していく姿、宗五郎の怒りと悲しみが切実に伝わるせりふなど江戸の市井の人々の喜怒哀楽が生き生きと描かれます。このたびは、獅童の子息がそれぞれ初代中村陽喜、初代中村夏幹として、丁稚役で初舞台を踏みます。