『北斗の銃弾』宮本昌孝 講談社[Amazon]


時は江戸、天保4年。松平定信失脚後の時代。女性を乱暴しようとした役人を短銃で襲った隻手の男は、こう名乗る。"鼠小僧次郎吉"1年前に、獄門にかけられた希代の怪盗の名であった。1年前に、鳥取藩下屋敷に押し入った鼠小僧の喉を切り裂き、捕まえた牢人松井音四郎は、上州で国定忠治のもとで用心棒をしていた。そこで、鼠小僧と再び会った音四郎は、その正体を探るために江戸に再び出る。まず、音四郎は、かつて、鼠小僧を捕らえる依頼をした阿修羅外道と名乗る凄腕の剣士とその一味を探るために、会見をした茶室へ行く。そこで、楽翁と名乗る謎の青年と出会うが、襲撃を受ける。徐々に正体をあらわす陰謀は、将軍家斉、寵姫であるお美代、その父である日蓮宗の僧日啓、老中水野忠成、松平下総守の弟、五代目松本幸四郎に似た忍びの鼻高、若き井伊直弼、鼠小僧の過去と正体、様々な人々を巻き込んで、収束へと向かう。

時代小説のエンターテイメントの部分を圧倒的に見せた物語です。人物造形の巧みさ、物語のメリハリ、エピソードの積み重ね、そしてチャンバラが本当に巧い。面白い。

北斗の銃弾

北斗の銃弾