『イカとクジラ』新宿武蔵野館

1980年代のブルックリンが舞台の壊れた家族の物語。理想の文学を持ちながら全く書けなくなった小説家の父と新進小説家としてニューヨーカーに作品を発表をする母との間で離婚が決まり、息子ふたりは静かに傷ついていく。映画と文学に傾倒し、自分の価値観にあわないものは扱き下ろしすような無神経で尊大でプライドばかり高い父の縮小再生版といった感じの兄の描写が個人的に昔の自分に近くてかなりいたい(笑)。読んでいない文学作品をさも読んでいたかのように評論ぶった口調でいうシーンなど昔を思い出して赤面しちゃいますわ。作品自体の感度温度はかなり好みでした。