『つぐない』TOHOシネマズららぽーと横浜


素晴らしいっ。文学的香気が香る久々の映画だ。「プライドと偏見」のジョー・ライト監督はオースティン作品のとらえどころから才能があるなと感じていたが、この作品で評価は決定的になったと思う。最初の15分間で3人の関係性を浮き彫りにし、愛と官能、一人の少女の嘘へと導いていく、そしてそれは時代の哀しみへと二人の男女を誘っていく。13歳の少女の潔癖性と物語るものの力と不幸が演技を通して説得力を持ちうるということを最初のパートで見事に勝ち得ている。第二部ではダンケルクでの撤退戦での浜辺での帰還を待つ兵士たちの姿を描くシーンの美しさが印象的。そしてエピローグでの告白シーンでの罪と贖罪と真実。これに正直号泣してしまった。昔の映画が持っていた気品がすごく感じられる作品。傑作といっていい映画だと思う。