『ボーン・レガシー』ワーナー・マイカル・シネマズ海老名


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諜報組織が複数の計画を進行させていたが、ジェイソン・ボーンの物語によって破綻しつつあり、ひとつの計画を抹消させることにする。計画に関わるものの消去などのディティールが非常に丹念に描かれている。このスリリングさはスパイ謀略小説の読者にとっては見ごたえがある。ジェレミー・レナー演じる主人公の目的はあくまで自分を縛る薬という鎖からの開放であり、組織との直接対峙の描写や過去に関わりのあるエドワード・ノートン演じる作戦部長との絡まりも最後までない。抑えた筆致の謀略サスペンスとしてこの点にも個人的には好感を覚えた。ただ、アクションを求める従来のボーン・シリーズのファンが納得できないのも良くわかる。スタイリッシュでスピーディーなアイデアあふれるアクションを求めてこの映画を観ると痛い目を見るだろう。冒険スパイ小説やアクション抑え目の謀略ものに素養がある人にはお勧めできる作品。