『六番目の小夜子』恩田陸 新潮社

ある地方の高校に伝わる三年に一度、学園祭で行われるゲームは、学校に関わる運命を占えるといわれていた。それは一人の生徒によって行われ、受け継がれる。その生徒は「サヨコ」と呼ばれることとなり、それを執り行うのだった。そして、六番目のサヨコの年。

この方のを読むと、作品の内容よりも、どうしても世界観の感想になってしまいます。

郷愁、季節、異界、永遠の夢、空間の中に存在する過去、現在、未来への流れと、そこに存在する少年・少女の感情、感性、憧憬、心証風景の描き方とのバランスが、この人独自の世界を創り出しているのかなと思います。
完結し得ない続きのある世界、それがこの人の物語。

作品自体は、今年のサヨコは誰だという、ミステリのフーダニットと学園祭に行われた芝居を頂点にしたホラー的要素とのバランスが巧い作品だと思います。