『歌舞伎座新開場十周年 六月大歌舞伎』歌舞伎座

夜の部 午後4時~

義経千本桜
木の実・小金吾討死

4:00-4:55
幕間 20分
義経千本桜
すし屋

5:15-6:50
幕間 30分
義経千本桜
川連法眼館

7:20-8:35

竹田出雲 作
三好松洛 作
並木千柳 作
  義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
木の実
小金吾討死
すし屋
川連法眼館
〈木の実・小金吾討死・すし屋〉



〈川連法眼館〉
いがみの権太
弥助実は三位中将維盛
若葉の内侍
お里
主馬小金吾
六代君
権太伜善太郎
弥左衛門女房お米
猪熊大之進
権太女房小せん
梶原平三景時
鮓屋弥左衛門


佐藤忠信/忠信実は源九郎狐
源義経
駿河次郎
亀井六郎
飛鳥
川連法眼
静御前

仁左衛門
錦之助
孝太郎
壱太郎
千之助
種太郎
秀乃介
梅花
松之助
吉弥
彌十郎
歌六


松緑
時蔵
坂東亀蔵
左近
門之助
東蔵
魁春

みどころ

義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
歌舞伎屈指の大作に描かれる歴史ロマン
 大和国、吉野下市村の茶店平維盛の妻の若葉の内侍と嫡子の六代君は、家来の小金吾を連れてその行方を捜しています。そこへ現れた「いがみの権太」と呼ばれる小悪党に因縁をつけられると金を巻き上げられてしまいます。その夜、追手に見つかり奮戦する小金吾は内侍と六代君を逃がし討死。そこへ権太の父・弥左衛門が通りかかると…。(「木の実・小金吾討死」)
 すし屋を営む弥左衛門は、実は維盛を奉公人の「弥助」として匿っています。しかし、素行の悪さから家を勘当されたならず息子の権太がそのことを知ると、褒美の金欲しさに父・弥左衛門を裏切り、詮議に来た鎌倉方の梶原景時に、維盛の首と内侍親子を突き出します。怒った弥左衛門は思わず権太を刺しますが、権太の口からは意外な真相が明かされ…。(「すし屋」)
 川連法眼の館へ匿われている源義経のもとへ、家臣の佐藤忠信が訪ねてきます。義経は、伏見稲荷で預けた静御前の安否を尋ねますが、忠信には覚えがない様子。そこへ、静と忠信が到着したとの知らせが入ります。これを不審に思った義経から忠信詮議を命じられた静が初音の鼓を打つと、その音に惹きつけられて姿を現したのは…。(「川連法眼館」)
 歌舞伎三大名作の一つに数えられる義太夫狂言義経千本桜』。源平争乱の後日譚として、史実と虚構を巧みに織り交ぜながら繰り広げられる壮大な物語は、時を超えて人々を魅了し続けてきました。「木の実」から「すし屋」は原作の三段目にあたり、源平の戦いで落命した平維盛が実は生きていたという着想のもと、無頼漢ながら愛嬌をあわせもついがみの権太を主人公として物語が展開。改心した権太が迎える悲劇の結末には、家族の情、世事に翻弄される庶民の哀切がにじみ、胸に響きます。「川連法眼館」は、原作の四段目の切にあたることから通称「四の切」と呼ばれ、親子の恩愛や狐と人間との慈愛を描いた心温まる、華やかなひと幕。本物の忠信と狐忠信の演じ分け、「狐詞(きつねことば)」と呼ばれる独特なせりふ回しや早替りなど、みどころの多い場面です。義太夫狂言の名作をご堪能ください。